側弯症と手術 柳沢療法研究所

側弯症と手術

側弯症の手術の術式

脊柱側弯症は、西洋医学では手術が唯一の治療法と言われています。
現在病院で行われている一般的な手術は、背骨を金属の棒で挟み、ボルトで固定するものです。
ボルトで固定してから骨盤などの骨を削ってすり潰し、椎骨の関節を埋めて背骨を一本の骨のようにします。

背骨を固定する際には、湾曲を極力改善しようと試みる場合と、そうでなくてそのままの角度で固定する場合があるようです。
成長期にこの手術をすると、座高の成長が止まってしまい背が伸びなくなりますので、最近ではスライド式の金属の棒を入れて、成長に合わせて棒を伸ばすという術式の手術も行われています。
ただ、この方式だと毎年のように何度も手術を繰り返す必要があるという欠点があります。

また、私の患者さんは、病院で手術について「二十歳になって背骨が固まったら、金属の棒を取り除く手術もできる」と言われたそうです。
このように、必ずしも椎骨の関節を埋めてしまわない術式もあるようです。
しかしこのケースは、中学生か高校生になりある程度身長が伸びた後で、しかも手術によってかなり湾曲の矯正がうまくいった場合の話ではないかと思います。

別の20代女性の患者さんで、子供のころに胸椎の上部のみ手術をされた方がいらっしゃいますが、X線写真を拝見したところ、金属の棒は入っておらず、ちょうど歯にかぶせものをしたように椎骨の両側に金属の覆いのようなものが見られました。
脊柱の湾曲の度合いから見て、矯正はされた様子がなく、これ以上進行しないように為されたもののように感じました。

このように、脊柱側弯症の手術は、病院によって様々な術式が採用されているようです。

側弯症の手術のプラス面とマイナス面

それでは、側弯症の手術のプラス面とマイナス面を考えてみましょう。
まずプラス面ですが、それ以上湾曲が進行しないで済みます。
術式によっては、脊柱の湾曲の改善が期待できます。
また、現在背中の痛みや腰痛が出ているのであれば改善しますし、将来重篤な症状が出るのを防ぐことが期待できます。
たとえば、脊椎が圧迫骨折を起こして腰が曲がってしまうようなことも防げるでしょう。

次にマイナス面ですが、まず手術自体の苦痛があります。
数か月にわたるリハビリも必要です。
体に金属の棒を入れるわけですから、体がなめらかに動かせなくなります。
成長期に手術しますと背が伸びなくなります。
(身長の伸びを妨げない術式もありますが、それだと何度もの手術が必要になります。)
切開した部分に大きな傷跡が残ります。
それから、手術自体の危険があります。
これは、年齢が増すほど高まり、もし失敗すると車椅子の生活になってしまうそうです。
(もっとも、これまでは側弯症の手術は子供のみで、中高年の手術も行われるようになったのはごく最近のことのようです。)

側弯症の手術を勧められるまで

側弯症の手術は、脊柱の湾曲(コブ角)が50度を超えると行われるのが一般的です。
最近では学校の集団検診が充実してきて、少しでも側弯症の疑いが見つかりますと整形外科の診断を勧められます。
その成果が出たのだと思いますが、集団検診がなかったころのような、「見つかった時には側弯が極端に悪化していた」というようなことは少なくなっているようです。

側弯症と診断されると、最初は近所の整形外科で診察を受けますが、症状が進行していると、大学病院かそれに準ずる専門医のいる大きな病院を紹介されます。
そこで定期的にレントゲンを撮り、経過観察を行います。

そして、湾曲が25度を超えるとコルセットの装着を勧められます。
このコルセットは、様々な形状のものが工夫されてきていますが、調整技術が非常に難しいものです。
コルセットでは、側弯症の進行を抑えることが期待できますが、改善させることはできないという考えが一般的です。
側弯症の治療は、最終的には手術に頼っているのが現状だと言えるでしょう。

ご家族の不安

さて、経過観察をしていたお子さんが、ある時脊柱の湾曲が50度を超えると、突然手術を勧められるわけです。
手術という結論に向かって、まるでベルトコンベヤーに乗せられたように、「さあいつ手術しましょうか」とスケジュールを決めていかれるそうです。

前述したような術式の説明や、手術のプラス面とマイナス面の説明も当然なされるでしょう。
親御さんの狼狽は想像に難くありません。
側弯症だと分かっていても、子供さんの場合何の症状もないことが多いですから当然です。
ですから、将来起こるかもしれないリスクのことを言われても、何となくピンときませんでしょう。
それを、「一生外せない金属の棒を入れる」だの、「背が伸びなくなる」だの、「なめらかな動きができなくなる」だの、「大きな傷跡が残る」だの(ましてほとんどが女の子です)、「失敗する可能性もある」だのと言われれば、なおさらです。
親御さんが、「そんなマイナス面の多い手術をなぜしなければならないのだ」と思われても、不思議ではありません。

当然、手術をするか否かは、ご本人やご家族が決断されることですが、大学病院の先生何人もに取り囲まれて、手術の意義を説得されれば、断るのは容易ではないでしょう。
そのようにして、毎日大勢の側弯症の患者さんが手術を受けられていらっしゃることでしょう。

当研究所の目標

整形外科の先生の立場も、わからなくはありません。
他に方法はないと信じていらっしゃるわけですし、手術の成功率を上げるためにも、たくさん切って症例を積む以外にないわけですから。

しかし、多くの患者さん方のうち一部の方は、「何か他に方法はないものか」とネットで調べ、私のホームページを見て、藁にもすがるような気持ちで訪ねていらっしゃいます。
そのような、手術を勧められて悩んでいらっしゃる多くの方を、私は手技療法で改善させてきました。

また、成人になられた方で、子供のころに手術を勧められたという方もたくさんいらっしゃいます。
私の目標は、一人でも多くの重症の側弯症の方を、将来のリスクを減らせるまでに改善してさしあげることです。

手術を勧められて悩んでいらっしゃる方は、ぜひ一度私の治療をお試しになられることをお勧めいたします。
そのうえで決断されても決して遅くはないのですから。

高齢の方の手術

お断りしておきますが、私は側弯症の手術を全面的に否定するものではありません。
手術でしか救うことができない症例があるのも確かです。

また、高齢になって骨折が多発し、体を支えられなくなって腰が曲がってしまったようなケースでは、私が治療してその時だけは姿勢が伸びても、その姿勢を長いこと維持させてあげることはできません。
治療しないよりはましですが、曲がっては伸ばし、曲がっては伸ばしするしかなく、抜本的に治してさしあげることはできません。
そのようなケースでは、むしろ「手術をして金属の棒を入れて支えてもらったらどうか」と思うこともあります。

ただ、高齢になるほど難しい手術になりますので、失敗のリスクや術後の苦痛も大きくなり、安易に手術をお勧めることは憚られます。
実際に、病院でも「骨がもろくなっていてボルトを止められないので手術ができない」と断られたという方もいらっしゃいますので、なかなか難しいところです。

側弯症の自覚症状の無い方へ

背骨は背中にあり、自分では見えませんので、症状がなければ側弯症を放っておきがちです。
病院でも、成人の場合、命に別状のある病気ではなないし、手術をするのでなければ治療法が無いので、それほど重要視してくれません。
ですが、側弯症をお持ちの方は決して安易に考えないでください。
知らないうちに進行する場合があるからです。

特に、40歳を過ぎると骨や支える筋肉が衰えてきますので、悪化しやすくなります。
重い症状が出た時には、圧迫骨折を起こしているというケースも多いです。
圧迫骨折を起こして体を真直ぐに保てなくなりますと、生活の質が著しく落ちます。
ですから、手遅れになる前に私の治療を受けていただくことを願ってやみません。
患者さんの中にも、「もっと早くにうかがっていたら」と悔やまれる方がたくさんいらっしゃいます。

40歳を過ぎたら、定期的な背骨のメンテナンスが大切ですよ。
また、若い方でも、背中の痛みや息苦しさ、腰痛などの症状のある方は、ぜひお越しください。
もちろん、症状がない方でも歓迎いたします。

側弯症チェックシート よくある質問 側弯症特集
側弯症と名医 身体の歪み改善体操
側弯症と手術